この記事内には広告が含まれています。
この記事にはネタバレが含まれています。
2024年9月27日に映画が公開された辻村深月さんが書いた「善良と傲慢」
映画の予告を見て気になり、そこからなぜか映画に行かず原作の小説を読みました。
とても心に刺さって、考えさせられる言葉がたくさんありました!
フィクションストーリーとは思えないほど今の婚活市場においても必要な考え方もたくさんあったと思い今回上記のようなタイトルで記事を書いていきます。
辻村深月「善良と傲慢」
婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。
その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。
生きていく痛みと苦しさ。その先にあるはずの幸せ──。
2018年本屋大賞『かがみの孤城』の著者が贈る、圧倒的な“恋愛”小説。
引用:朝日新聞出版公式サイト
物語は西澤架視点と坂庭真実視点の2部構成となっており、この2人は婚活マッチングアプリで出会います。
上記に書いてあるように、2人は婚約し、結婚式も控えているというところで真実は突然姿を消します。
架は真実を探すべく、彼女の実家である群馬に情報収集に。
ここで架は真実の両親、以前利用していた結婚相談所の紹介人、相談所の紹介で真実が会った男性たちなどに話を聞きます。
様々な人たちから話を聞くことで真実がどんな思いで生きてきたのかが想像できるように。
また、真実がいなくなることによって架の真実への思いも変化していきます。
どうして真実が消えたのか…
婚活中の人に「善良と傲慢」をおすすめする理由
現代の日本は、目に見える身分差別はもうないですけれど、一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。
その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらうことが多すぎて、″自分がない″ということになってしまう。
傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう。
不思議な時代なのだと思います。
引用:善良と傲慢
上記は真実が以前利用した結婚相談所の紹介人の言葉ですが、この言葉だけでもなるほどと思ってしまいませんか?
マッチングアプリって自分自身は選ぶ側だし、選ばれる側でもあります。
「自分にはもっといい人が」はあからさまに傲慢ですが、「なんか違う」で何人マッチを見送ったでしょう。
「善良と傲慢」では「ピンとこない」という言い方をしていました。
さらにはその「ピンとこない」の正体は自分が自分につけている値段であると。
私もマッチングアプリをやったことがあるのでそうだったかもしれないと思いました。
だけどそういうもんですよね。だから結局ダラダラと、そして疲れてしまう。
しかしそれでするりとマッチしてしまう人もいる。だからこれを心に留めておいてほしいと思いました。
その後実際架は真実が結婚相談所で紹介されマッチしなかった男性とも会います。
そこで架はずっと善良と思っていた真実が実はそうでもないということを知ります。
マッチしなかった男性の一人はすでに結婚しているんですよね。
それもなんだかリアルだなと思いました。
私が振ったはずなのに、私より先に結婚している、的な。
また同じ人物に架と真実は会っているわけですが、架視点と真実視点ではその人の評価が違って、それが人の価値観というところだなと思いました。
考えさせられた言葉
最後にこの本を読んで考えさせられた言葉を書いていきます。読み飛ばしてもらっても構いません。
悪意とかそういうのは、人に教えられるものじゃない。
巻き込まれて、どうしようもなく悟るものじゃない。
教えてもらえなかったって思うこと自体ナンセンスだよ。
引用:善良と傲慢
これは真実に対して真実のお姉さんが思っていることを言った言葉です。
この言葉単体というよりも背景含めていろいろ考えちゃいますね。
真実のお母さんって癖あるんですよ。
娘が可愛くて全部先回りでやってあげちゃう。
真実が善良だったのはそのレールを生きるしかなかったからではないか。
その環境で生きてきた真実が、何も考えられない子だったのは真実だけが悪いのか。
悪意や打算的な考えや駆け引きなんかに触れる機会がなかった中で突然年頃だからと婚活をせかされて、やっぱり真実だけがいろいろ言われなきゃいけないのだろうかと考えてしまいました。
まとめ
今回は辻村深月さんが書いた「善良と傲慢」を紹介しました。
現在公開中の映画は見ていませんが、登場人物の特徴や考え方を文字でここまで伝えることができるのかととても感動しました。
朝井リョウさんの解説も首を何回縦に振りたくなるほどなので、ぜひ原作を読んでほしいです!
コメント